国盗り物語〈1〉斎藤道三〈前編〉 (新潮文庫)



国盗り物語〈1〉斎藤道三〈前編〉 (新潮文庫)
国盗り物語〈1〉斎藤道三〈前編〉 (新潮文庫)

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名作かつ人生を変える本

司馬作品はすべて読みましたが、個人的にこの作品、特に「斎藤道三編」が二番目のお気に入りです(「竜馬が??」が一番ですね)。

斎藤道三は謎につつまれた人物ですので、大半は司馬さんのつくり話でしょうけど、「ああ、さすが道三!」と手を打ちたくなるシーンが数多く登場します。

道三は知性と武勇を武器に、僧→浪人→婿入り→油屋の主人→旗本→僧→旗本→一国一城の主 となりあがっていきます。人生の起承転結があり、難しいのは「転」の部分だと、道三がいいます。この言葉に、人生を見つめなおしてしまいました。

世の中啓蒙書がたくさんでていますが、おすすめの「人生の啓蒙書」です。もちろん、小説としてもすばらしい!
人間の心理を巧みに描写

 僧侶から浪人、油商人、そして戦国大名へと出世をとげる後の斎藤道三の若き日を描く。
 司馬は、道三を、仏教の奥義を極め、人間の陰影を全て達観した超人として描きながら、妙に人間くさい一面も併せ持つ、一個の魅力的な人間として再現。
 美しいが身持ちの固い油商の御料さんお万阿を蕩かせ、土岐家の中では才のある斎藤利隆を引き込んでいく。その生き様は、まるで奇術を見ているようだ。
 そして、着実に勢力を扶植しながら、自らの野望に突き進んでいく。
道三・信長・光秀

前編が斉藤道三、後編が織田信長と明智光秀が主役となって話が展開します。
戦国物というと色んな武将名が出てきたり大小の数多くの合戦があって関係が煩わしくて何となく読む気がしないなぁと思っていましたが、全くの誤解でした。
道三編は冒険物の要素が濃く、僧の身分から還俗して美濃一国を盗るまでの道三の策謀と行動力が存分に発揮され、話がトントンと進みます。
後編は信長と光秀がほぼ同じか、ひょっとすると光秀の方が出番が多いような気もします。
合戦の模様の描写は案外あっさりしていて、それに至るまでの状況や行動、人間の心情のほうがより濃く描かれています。

最近の研究によると、美濃の国盗りは道三と道三の父との親子二代にわたる事績であり、僧から長井家の重臣になったのは道三の父(長井新左衛門)らしいのですが、
この作品の道三ならば、全て彼一人でやってのけたとしても不思議ではないような気がします。
織田信長の義父とイメージしかなかったのだが・・・

 司馬遼太郎の「戦国4部作」のうち「新史太閤記」「関ヶ原」「城塞」は読んだことがあるのですが、「国盗り物語」だけは読んでいなかったです。理由は、後半二冊の織田信長には興味があったのですが、どうしても前半2冊の斎藤道三には興味がもてなかったからです。理由としては、斎藤道三というと、どうしても織田信長の義父というイメージしか持てず、そんなに面白そうには感じなかったからです。しかし、「戦国4部作」のスタートを読んでいないというのはどうも気持ちが悪かったので読みました。読んでみて斎藤道三のイメージが変わりました。こんなに魅力がある人物を見逃していたことを後悔しています。

 戦国時代というと三英傑が出てきてからが本番で、それまではオマケ程度にしか考えていなかったのですが、それまでもかなり面白い魅力があるんだということが分かりました。

 第一巻では庄九郎が奈良屋を手に入れるところから、美濃での主君・頼芸を国主にするところまでが描かれています。本書を読んでいると、庄九郎の手法には驚かされてばかりです。特に奈良屋を手に入れるところは凄かったです。正に見事というほかありませんでした。ここからどうやって庄九郎が美濃を手に入れるのか、後編がとても楽しみです。

 本作品を読んで戦国時代の前半にも興味がわいてきたので、「国盗り物語」を読み終えたら、北条早雲が主人公の「箱根の坂」を読みたいと思います。
下克上の人間ドラマ

司馬遼太郎さんの著作は好きなのですが、本書読んだのは40代になってからでした。
斉藤道三というと北条早雲と並び称される戦国「下克上」の代表ですが、早雲が後継問題をクリアできたのに、道三は息子に殺されるという結末を迎えてしまったのか。そのあたりに思いを馳せながら読むのも一興かと思います。
ただし、道三の天下統一の意志は信長に、さらに信長から秀吉・家康に受け継がれたと考えれば本書は、徒手空拳から出発し「天下統一」という大事業の序章を開いた男の物語とも考えられます。



新潮社
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国盗り物語〈第4巻〉織田信長〈後編〉 (新潮文庫)
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