国盗り物語〈2〉斎藤道三〈後編〉 (新潮文庫)



国盗り物語〈2〉斎藤道三〈後編〉 (新潮文庫)

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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道三の国盗り物語

 国主を二度に渡って蹴落とした、道三の後半生を描く。
 まさに国盗り物語の真骨頂であり、前編の、まるで手品を見ているようなキラキラ光る才知ではなくして、力の扶植に専念し、力でねじ伏せていくという、まさに、家老から大名へと変身していく様はおもしろい。
 テンポもよく、あっという間に読める。

「信長編」へと続く「信秀編」が見所

 第二巻では斎藤道三こと松波庄九郎が、主君であり、美濃守護でもある土岐頼芸を追い出し、庄九郎が美濃守護になるまでが描かれています。ここまでは分かっていたところですが、本巻の見所は「道三編」でもなく「信長編」でもない、名前を付けるなら「信秀編」が描かれているところです。この「信秀編」が実にいいつなぎを果たしています。「信秀編」を読むことによって第三巻以降の「信長編」への興味がより沸いてきます。

 第三巻以降の「信長編」もとても楽しみです。織田信長の半生がどのように描かれているのか楽しみです。

 
これぞ下剋上

斎藤道三が大名へと下剋上を遂げる物語です。

常識の善悪を超越した存在として、
絶対の自信を抱いています。
組織の内側から革命をおこすという
難しいことを見事に行います。

信長や光秀の師匠であるという視点も
興味深いです。
司馬氏40代の作品、というつぶやきがムムムっと

司馬遼太郎作の魅力の一つに、作者のつぶやきがある、と思うのは私だけだろうか。龍馬でも多々つぶやいておられるが、この道三の物語でも....相当に司馬氏のお気に入りの人物だったのか.....この間の冒頭では庄九郎と茶飲み話にふけるなど、相当楽しんでおられる司馬氏の姿がかいま見えて微笑ましい。もちろん、ここにいる道三=庄九郎はこの物語の後半の怪物めいた描かれようとは異なり、相当に魅力的であり、司馬氏ならずとも茶飲み話の一つもしたくなる(うそ!こええよ、そんなの!)
さて、この巻の後半、いよいよ道三が蝮化し、土岐頼芸を追い出す段の手前で司馬氏はこんなような余話を挿入している。人間40を過ぎるころには愛憎が深くなるようだ、このころの庄九郎と同世代の筆者も...

え〜!司馬さんが40代の頃の作品なんだ〜!なんかすっごい。

書かれた時代は高度成長期のまっただ中で、古い日本を変えてやろうという戦中派世代が鋭い気概に燃えていた頃だったろう。戦国のスーパーマン、松波庄九郎の姿はこのころの植木等的サラリーマンにはスゴイ魅力的だったことだろうなぁ。そのスーパーマン庄九郎もこの巻の終わりではかなり哀しい。いつまでも若々しい華やぎのあるお万阿が素晴らしい。
信長編へのつなぎ

この巻では、斎藤道三の守護代時代からの後半生が描かれています。成り上がりの道三のイメージとは異なり、善政・知略で国を平らげていく課程が描かれています。つまり、この本の「国盗り物語」というタイトルの主題を描いている部分なのですが、この時期の道三は私の持つ「ギラギラした」道三の魅力はありません。

しかし尾張の信長の父親である信秀が魅力的に書かれていて、後の信長編に続く導線を引いています。早く信長編を読みたいと思わせる巻でした。
また「雑話」という章があるのですが、ここでは司馬氏自身が道三と世間話をするところを想像する、という面白い趣向があります。ここでの司馬氏と道三のやりとりは、この巻での一興でした。



新潮社
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